一人暮らしの準備

Preparation

私たちは、障害を持つ方への支援を行っておりますが、その最たるものとして一人暮らしへの支援があります。
すでにその実績があり、その実績を通して経験したことを紹介したいと思います。

準備段階
  • STEP.1自分の気持ちを確かめる

    一人暮らしを望む気持ちが揺らぎの無いものであるかどうかを、自分の中で確認してください。揺らぎがあると、少しの困難で挫折してしまいかねません。できれば、既に一人暮らしをしている方の生活を見たり、その方に話を聞かれる機会があれば尚良いでしょう。

  • STEP.2家族の同意をしっかりと取る

    家族と同居の場合でも、施設に入所している場合でも、家族の同意を得る事が難しいケースは多いものです。 勿論、それは心配の余りという事もあるのですが、特に重度の障害がある場合、一人暮らしなど、とても無理との認識を持たれている方が多いのです。
    一人暮らしの方の経験や具体例などから、心配が少ない事を認識してもらう事が必要です。歴史的に見て、特に重度の障害を持つ方が一人暮らしをするということは、これまで極めて希でした。一般的認識としては、家族と同居するのか施設に入所するのが当然というものでした。法的(制度的)整備がなされ、今では十分一人暮らしは可能になった事を丁寧に説明したら良いと思われます。
    本来これはおかしなことではあるのですが、歴史的経緯の中で形成された一般的認識を変えるためには、必要な努力かと考えられます。
    施設に入所されている方は、施設職員に対しても同じような努力が求められます。残念ながら、施設に勤め障害者と日々接していながら、障害者の想いをきちんと受け止めていない職員が多い事は事実なのです。

  • STEP.3住みたい地域の情報を取得する

    重度の障害がある場合、住む地域により介護条件が異なる為それを確認しておく必要があります。障害者総合支援法で、国が決めている介護サービスの上限は、1月/約40万円分となっています。この場合、ヘルパー派遣だけ使っても1日に数時間しか使えず、生活上不便が生じることは明らかです。
    市町村によっては、この国の条件に上積してサービスを使えるようにしています。例えば、広島市は最大1日24時間の介護が可能です。この場合、障害が最重度でも一人暮らしは十分に可能になります。わが社の介護を受けている方は24時間の介護を受けている方が数人います。
    尚且つ、今現在は軽減措置がとられている為自己負担はほとんどの方が0円です。
    こうした情報は、各市町村の行政に問い合わせれば対応してくれ、相談窓口としては「相談支援事業所」がありますので、そこに問い合わせてもいいでしょう。 また、障害者介護を専らとしている我が社のような事業所があれば、相談・対応してくれるはずです。

実現段階
  • STEP.1住所変更

    親元を離れたり、施設を出て一人暮らしをするということは、自分の住むところを確保することから始まります。住むところが決まったら住所変更が必要になります。(住宅の確保については後で説明します。)これは介護者に付き添ってもらって役所に行かれたらいいでしょう。

  • STEP.2区分申請・介護時間の申請

    総合支援法では、身体の状況によって区分を1~6までにしています。最重度が6です。この区分を受けていない場合は、かかりつけの病院などで診断を受け役所に申請をします。
    この区分によって介護時間に差が出てきますので、大変大事なものです。市町村により異なりますが、広島市の場合は区分6ですと、24時間介護が可能になるかと思います。
    自分の身体状況と生活内容によって、どの程度の介護時間が必要かによって、要求する介護時間が決まってくることになります。
    ここでひとつ気をつけなければならない事があります。それは、年齢です。65歳を区切りに主たる法律が変わります。64歳以下ですと、総合支援法のみでいいのですが、65歳になりますと、介護保険法の対象者になります。介護保険については、介護保険法での介護時間で足りないところを総合支援で補うという形になります。また、費用も違ってきます。

  • STEP.3介護事業所との契約

    介護時間が決定しますと、次に介護事業所と契約をすることになります。障害者の介護を専門にしている事業所は極めて数少ないですので、これは障害者の相談窓口である「相談支援事業所」に相談されるのが良いでしょう。事業所選択によって生活の内容が違ってきますので、自分が納得するまで話を聞き、できればその事業所を使われている障害者の方に直接聞かれるのが最善かと思われます。事業所から紹介してもらえるはずです。
    また、利用できる時間数によって、どのような介護内容か利用する時間帯をどうするかなど、きめ細かく詰めた話をする必要があります。勿論いつでもそれらの変更は可能ですので、遠慮なく話をされたら良いと思います。

  • STEP.4住宅の確保

    これは重度障害を持つ方にとっては大きな問題になります。わが社でも創設当初は、この住宅確保に苦労しました。理由の第一は、住むのに適した住宅がなかなか無いということです。特に入り口の段差、風呂、トイレなどに問題があります。第二は、まだまだ社会的偏見が強く、障害者が住むことに抵抗がある家主が居ることです。
    わが社ではそのことを解決するために、南区段原にマンションを購入しました。それにより利用される方が暮らしやすいよう自由にリフォームすることが可能となりました。また理解ある不動産業者とタイアップすることができ、多少のリフォームなら可能な物件が確保されています。